西手良豊展
西手良豊展「浮遊する木野子」
2011年12月6日(火)~12月11日(日)
11:00-19:00(最終日18:00まで)
●キノコ
キノコは不思議な生き物で、植物でも動物でもない。菌類という微生物の仲間だ。
キノコは地球に6000万年前(白亜紀)に誕生し、木と共に森をつくり、森と共生し、地球の土と緑を作ってき
た。
●キノコが浮かぶ
版画を始めるなら、銅版画の漆黒の空間に「キノコが浮かぶ」イメージを表現したいと考えていた。
音もなく、時が止まったような漆黒の版画空間には、モチーフは地面にあるよりも空間に浮かんでいる方がふ
さわしい。空間にキノコが浮かぶと、キノコはそのリアリティ(現実感)を失い、空想や想像の世界に変わ
る。
この「キノコが浮かぶ」アイデアは北欧にいた頃思いついたが、どう表現すれば良いのか、わからなか
った。
その後、時々思い出しては消え、今日まで来てしまった。
制作し始めると、イメージは予想以上に広がった。はじめは「キノコが浮かぶ」ことは空想、想像の世
界だと思ったが、最近では「キノコは本当に浮かんだり、飛んだりしている。けれど私達に見えないだけ
だ。」と思うようになっている。
●浮遊する木野子(きのこ)
私が描くキノコは、きのこ、キノコ、茸ではなく、木や野を連想できる「木野子」がふさわしいと思
った。
英題は「FLYING MUSHROOMS」「飛ぶ木野子」にした。実は「浮かぶ」にするか「飛ぶ」にするか、
随分悩んだ。
漆黒の空間に漂う感じには「浮かぶ」が良く、日本題を「浮遊する木野子」にした。英題は、より自由に空間
を飛ぶ「飛ぶ木野子」にした。銅版画では「浮遊」、リトグラフでは「飛ぶ」感じが強く出ていると思う。
西手良豊/Yoshitoyo Nishite
インダストリアルデザイナー、女子美術大学非常勤講師
版画家 リトグラフ、銅版画を中心に制作。
東京生まれ。横浜在住。
東京教育大学教育学部卒業後、(株)東芝デザインセンター
スウェーデン国立美術大学留学