佐藤直樹と伊藤桂司の反展

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Tambourin Gallery Presents


「佐藤直樹と伊藤桂司の反展」


佐藤直樹×伊藤桂司 with 生西康典+BAL+ドゥイ+小駒豪


白の上の黒(壁紙に木炭画):佐藤直樹

黒の上の白(黒板に白墨画):伊藤桂司


空間演出:生西康典

空間造形:BAL、小野亜斗子(ドゥイ)、轟岳(ドゥイ)、小駒豪

記憶:高橋キンタロー


3/11(火)~30(日)/※月曜休

11:00~19:00(最終日18時まで)


入場料=500円(期間中何度でも入場できるパスポート制です)

本展覧会は期間中変化し続けます。



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「細孔まで再考し、最後世へと採光を放つ最高のサイコセラピー!!!!!!!!!」 (宇川直宏)


★ 昨秋のTAT(TRANS ARTS TOKYO 2014)の最終日のほぼ終了時刻頃、駆け足で回ってようやくたどり着いた建物地下の大きなスペースは、クロージングパーティーの会場らしく人が集まりがやがやしてましたが、めげずに拝見。グループ展らしいけれどもどれが誰の作品だかわかりません。で、通常の作品サイズと違いすぎて最初眼に入らなかった取 り壊し予定のどでかい壁の一面は、元々あった壁紙とかでは全然なくて、このTATのための誰かの仕業に違いないみたいな感じでようやく眼に止まりました。 わー、ここだけ「森」な次元。相当な気合いと労力と多重な思考と感情の変な温度。いったいこれは...。ここの区画のグループ展はここで終わりということ を確認し、そういえば佐藤直樹さんが展示してる場所はここだったはずだという事前の情報とを脳内でつなぎあわせると、うん、この「森」の仕業が佐藤さんっ てことは、ちょっと意外なような気もするけど、全然「ありえる」。とまで、頭の中で言葉になったときに向こうから中村政人さんと佐藤さんがやってくるのが 見えました。デザイナーとしての佐藤さんには1990年頃からお世話になっていましたが、近年絵筆をとられるようになってからの作品はちゃんと拝見したこ とが、多分なかったでした。★昔語りで恐縮ですが僕が学生のとき、大先輩として尊敬していた伊藤桂司さんに仕事をお願いしたことがあります。1985年、「BICAN」という名のカセットブックを編集出版したのでしたが、その表紙をお願いしました。カラー新作です。そのころの伊藤さんはブリキのおもちゃ箱感漂うキッチュさが楽しい力強い作風で、原稿をいただきに上がりとても嬉しかったのを覚えています。紐が画面に貼り込まれていて、それがキャラクターの輪 郭線になったりならなかったり。絵の具は厚塗り派で、紐ならではのマチエール感もまた楽しく。今だったらツヅジュンさんと僕とで「ベクター?」「物質?」 みたいな話題もできたかもしれませんが、当時はパソコンはおろかビジネス世界でもようやく数行だけ打てるようなワープロが出てきたくらいな時分。CDもまだなくレコードでした。あ、伊藤さんはすごい量のレコードコレクターでした。聞くところによるととても気に入ったレコードは、普段聴く用と保存用と予備用に三枚お買いになっていらっしゃったとか...記憶違いだったらごめんなさい。(中ザワヒデキ)


正しい記憶を紡ぐために。真実はここにある。(高橋キンタロー)


伊藤桂司さんとは20年前にライブペインティングを一緒にやったことがあります。佐藤直樹さんとは5年前に馬の絵をやはりライブで一緒に描きました。また、現在お二人とは別々の場所でよくご一緒させてもらってます。そう考えるとこの展覧会は、時間や場所を越え自分だけの視点を与えてくれる予感がします。あと伊藤と佐藤は似てますが、イントネーションが違います。(都築潤)



黒・白白白白白白白・黒


白・黒黒黒黒黒黒黒・白

黒・白白白反白白白・黒

白・黒黒黒展黒黒黒・白 

黒・白白白白白白白・黒

白・黒黒黒黒黒黒黒・白

(Tom Vincent)

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『反・展覧会のために』 


3月11日からタンバリンギャラリーで開催される『佐藤直樹と伊藤桂司の反展』は「本展覧会は期間中変化し続けます」と宣言されているように、この展覧会は「始まるまで」というか「終わるまで」どのような内容になる誰にも分かりません。今回の佐藤直樹さんと伊藤桂司さんの絵ですが、佐藤さんは「白の上の黒(壁紙に木炭画)」、対する伊藤さんは「黒の上の白(黒板に白墨画)」で黒と白の対比が真逆になっているというだけではなく、展覧会に対するアプローチの仕方もおそらく全く異なることになります。


佐藤さんは、昨年、神田で開催された TRANS ARTS TOKYO において旧電機大学の地下室に巨大な壁画を描かれた時と同じように、今回はタンバリンギャラリーがある外苑前の風景/地場/歴史を、佐藤さんのフィルターをして再構築し、木炭で描かれるんじゃないかと思います。それに対して伊藤さんは本展覧会に手ぶらで挑まれるようです。タンバリンギャラリーという空間に入って、初めて何を描くかを決めて、その空間でしか絵を描かれないということです。で、僕は今回は「空間演出」という自分でも初めてのことをします。アーティストのBAL さん、アート・ユニットのドゥイさん、舞台美術などをやっている小駒豪さんの3組4名が今回の「空間造形」を手がけるチームになります。


今、考えていることは伊藤さんが手ぶらで展覧会に挑むように、僕らは出来るだけ最初は空間を「空」で始めたと思っています。「空」と行っても「ゼロ」ということではありません。こういう話は仏教思想の「無」についみたいになりますが、確か白川静さんの言葉です。「空間は空虚な、あるいは無記的な空白そのものではない。常にあらゆる霊によってみたされているところの、生きた実在の世界である」。素材は揃っているが何も構成されていないところから始めます。そこに佐藤直樹さんの描きかけの壁画が入り、伊藤桂司さんがその「空間」で「素材」に絵を描かれる。僕らはそこで初めて、伊藤さんが描かれた絵に対して、また「空間」に対して、何かを組みてて行く。で、伊藤さんは、またそれに対して絵を描かれる、僕らはそれに対して、、、という作業が展示期間中、絶えず行なわれる。「全時間在廊したい」と言う佐藤さんも期間中、加筆し続け、そのは、当然、空間の中で何らかの影響を与え、受け続けるでしょう。


もうひとつ、今回の展示に対して、やりたいことは展覧会最終日を目指して、何かが完成する、構築されていくよなことは全くする気がない、というかやりたくないと思っています。作っては、壊し、変形させ、違うものを作り、また壊し、というのが参加メンバー全員の相互作用で、ずっと生成され続けるようなことが出来れば、僕はとても嬉しい。これは僕が思っていることなので、他の方々の考えは、もしかしたら異なるかもしれません。秩序だてて、完成させる、プラスして行くという考えをなるべく捨てたい。それは有用、無用という考えでもあります。アンチ断捨離。何かに価値を求め、何かに価値を認めないということ。アートだ美術だと言ってみても、完成させ、ギャラリーなどで発表される時点で、その作品は同時に商品になり果てます。それは作った人間も含め観た人にとっての、なにかの始まりになるかもしれませんが、消費と言う名の終わりでもあります。いつも、その時々で何らかの秩序、バランスというのは生まれているかもしれない。しかしそれを生んでいるのは、見ている人それぞれの中でもあったりすると思います。僕らは同じ場所にいて、同じものを見ているようでも、それは同じではきっとないでしょう。


長くなりました。何かをするときに予め説明するのも、あとで説明を加えるのも、本来好みませんが、今回はあえて、自分の『佐藤直樹と伊藤桂司の反展』への関与の仕方を書いてみました。この空間から、なにかしらの反応がまれること、未完成であるがゆえに終わらないことを望みます。とにかく、ここに何度でも来て自分自身で体験して頂けたらと思います。期間中何度でも入場出来るパスポート代五百円は対価ではなくご祝儀だと思って頂けら幸いです。自分から受け取ろうとしない人に渡すものはここには何もないかもしれません。他に代わるものがない体験が出来れば良いのですが。最後にギャラリーでありながら、商品化も出来ないような試みに空間と時間を与えようとしてくれているタンバリンギャラリーに感謝します。それでは、よろしくお願い致します。(生西康典)


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佐藤直樹 Naoki Sato

1961年生まれ。アートディレクター、グラフィックデザイナー、挿画家。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学・言語社会学を学ぶ。美学校菊畑茂久馬絵画教場修了。2003年に「東京デザイナーズブロック・セントラルイースト」を組織し、以降、2004~2010年「CET(セントラルイースト東京)」プロデューサー。2009年より美学校で講座「絵と美と画と術」をスタート。2010年「3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田3331)」設立に参画。多摩美術大学准教授。ASYL(アジール)代表。http://www.asyl.co.jp/


伊藤桂司 Keiji Ito

1958年東京生まれ。グラフィックワーク、アートディレクション、映像を中心に活動。2001年東京ADC賞受賞。キリンジ、PES、テイ・トウワ、スチャダラパー、高野寛、ohana、オレンジペコー、ボニー・ピンク、愛知万博EXPO2005世界公式ポスター、イギリスのクラヴェンデール、SoftBankキャンペーン、KEIJI ITO×graniiph Collaboration 他多数のヴィジュアルを手掛ける。2013年「ジブパル展。」(パルコ・ミュージアム)では、田名網敬一氏とのコラボレーション作品を発表。最新作品集に『LA SUPER GRANDE』(ERECT LAB.)。京都造形芸術大学教授。UFG代表。


生西康典 Yasunori Ikunishi

1968年生まれ。演出家、美術家、映像作家。2010年の恵比寿映像祭に出品したサウンド・インスタレーション『おかえりなさい、うた Dusty Voices , Sound of Stars』の5.1ch版を昨年より「音の映画」として暗闇の中で音だけを聞くという上映をUPLINKなどで不定期に行なっている。また2013年秋より美学校で実作講座『演劇 似て非なるもの』を始めた。その第一期生の修了公演を3月29日、30日に美学校本校にて開催予定。


BAL バル 

1986年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒。無類の道具好き。雑誌・書籍での挿画、映像・空間インスタレー ション制作を発表。メディアを問わず日常にひそむ無機的な「モノ」たちに命を吹き込む。2009年個展『Kitchenet』(麻布アートサロン)、塙正男著『あらゆる病気は治らない』(マガジンマガジン刊)表紙画。2011年BAL展『Kitchenet』(リトルモア地下)、横浜聡子監督作品『真夜中からとびうつれ』美術、2013年オリーブ特別編集『猫にモニャム~ル』展に参加(恵比寿AL)。その他、ジオラマ制作、へんてこ音楽隊のウクレレ担当など。


ドゥイ Dui

小野亜斗子と轟岳によるユニット。2006年より、横浜・石川町で出会った元クリーニング店の建物を自ら改装した「ドゥイ山」にて「ドゥイのこども造形教室」を開き、こども達との閃きのセッションを日々展開。「ドゥイのこども造形教室」以外にも、保育園や幼稚園、学童保育所の他、各種の催しにて、参加者それぞれの発想や閃きの面白さと、即興性を大切に考える「クリエイティブな遊びの時間」を通し、創作行為をより身近でより深いコミュニケーションの手段とすべく活動。http://duilab.com


小駒豪 Go Ogoma

1983年生まれ。武蔵小金井にある廃墟同然だった築50年の外人ハウスを改装し、住み始めて四年め。日々手入れしながら、暮らしています。リトルモア地下の増井めぐみのもとで働いていた2009年、飴屋法水演出『3人いる!』に出演。以降『4.48サイコシス』『わたしのすがた』『いりくちでくち』など多くの作品に参加。2013年、外人ハウスのリビングにて立川貴一演出『害虫』公演。遊びにきた生西康典と出会う。舞台美術、照明、写真など、なんでもやります。コーヒー淹れます、タルトも焼きます。


高橋キンタロー Kintaro Takahashi

1955年生まれ。イラストレーター、アートディレクター。多摩美術大学卒業、以後フリー。 メディア全般、活動は多岐に渡る。各種海外コンサート企画にも関わっています。自身もアート系ノイズバンドOBANDOSのメンバーにてサマソニ、大阪レインボーヒル他各種イベントに出演。 強い日射しだけの記憶が思い出を左右する事があるように、多くの情報に頼らないで蓄積された記憶やひらめきを呼び起こすような表現をめざします。


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反展祭

3月21日(金・祝日)午後1時頃よりゆるやかに始まり、午後6時ころゆるやかに終わる予定。


出演:
今井和雄(ギター、サウンド・オブジェクト)
久下恵生(パーカッション)
向島ゆり子(バイオリン)
池間由布子(歌とギター)
へんてこ音楽隊(自作楽器)
Akaiwa/Strange Garden(オープンテープレコーダーとマイクなど)
 他を予定

コラボレーテッド・ウィズ:
佐藤直樹
伊藤桂司

音響(Akaiwa/Strange Gardenのみ):池田野歩

料金:投げ銭(要・反展パスポート500円 期間中何度でも入場可能)

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反展セッション

「佐藤直樹と伊藤桂司の反展」with ペンギンカフェ(アーサー・ジェフス&オリ・ランフォード)


3月22日(土)18:30〜

「佐藤直樹と伊藤桂司の反展」にペンギン・カフェの2人が音楽で参加。生演奏と描画のセッション「ライヴ・ドローイング」を行います。(要・反展パスポート500円 期間中何度でも入場可能)

*9/27@めぐろパーシモンホール公演の先行チケットや特製トートバッグのついたチケット/CDセットも販売予定。

http://www.plankton.co.jp/penguin/index.html


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